平成2年にスタートし、国民的な人気を得てきた「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)が、10月から始まるシリーズを最後に終了する。石井ふく子プロデューサー(84)は「今回でちょうど10作、20年。(ドラマ関係者)みなが元気なうちにこれを一区切りとしたい」と話す。トレンディードラマ華やかなりし時代に、あえて投入された“泥臭い”ホームドラマ「渡鬼(わたおに)」。長寿の秘訣(ひけつ)は何だったのだろうか。(萩原万貴枝)
◆イガグリ頭が
「渡鬼」は、橋田壽賀子(すがこ)(85)脚本、石井プロデューサーのコンビで、TBS開局40周年記念ドラマとしてスタートした。食事処「おかくら」を経営する岡倉大吉と5人の娘の生き方を中心に、それぞれが築いた家族の変遷を描いたドラマだ。
約2年に1度、1年間放送するスタイルを20年続けた番組は他に類をみない。次女、五月(さつき)役の泉ピン子(63)ら主要キャストは全編を通して登場。えなりかずき(25)演じる五月の息子、眞(しん)は、スタート時はイガグリでランドセルを背負っていたが、最新シリーズでは結婚も視野に将来設計に頭を悩ませるなど、年月がそのままドラマのキャラクターの成長に反映されてきた。
番組の看板だった岡倉夫妻を演じた山岡久乃、藤岡琢也(ともに故人)が病気で降板し、ドラマ続行が危ぶまれたこともあった。大吉役は18年の第8シリーズから宇津井健(78)が引き継いでいる。
◆あえて逆行
「渡鬼」が始まったのは、まだ世がバブル景気に浮かれていた時代。ドラマ界では、「抱きしめたい!」(昭和63年、フジテレビ系)や「東京ラブストーリー」(平成3年、同)に代表される、最先端の流行と男女の恋愛模様を前面に押し出した「トレンディードラマ」が主流だった。
その流れに逆らうかのように登場した「渡鬼」は、就職、結婚、子育てなど人生の節目から日常のささいなもめごとまでを描いた。ドラマ評論家のペリー荻野さん(47)は「“夢物語”のトレンディードラマに嫌気が差した50代以上の主婦層の共感を得たことが大きかった」と指摘する。
なぜ長く続いたのか。荻野さんは「親子や夫婦、嫁としゅうとめなど、立場上の格差から発生する問題を描くなかで、一つの立場に肩入れすることなく、家族それぞれの言い分を公平に取り上げ、何が一番幸せなのかを問い続けたこと」とし、作家の目線が複眼的だったことを挙げる。
視聴率は、9年の第3シリーズ最終回で最高の34?2%をマーク(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。一昨年の前シリーズで初めて最高視聴率が20%を下回ったが、これまでの平均視聴率は21?4%と高い。
◆現代の“きずな”
「『渡る?』は、どんな大ベストセラーよりも、多くの方に自分のメッセージを伝えることができた“メディア”だった」
15日の最終シリーズ制作会見で、橋田はこう語った。長ぜりふが定番で、台本の見開き全部が一人のせりふということもざらだった橋田ドラマ。眞ら小さな子供が「(食事を)こしらえる」と話すなど、はやりの言葉に流されない美しい日本語に徹したのも橋田流のこだわりだった。
ドラマを通じ一貫して伝えたかったことは、人が生きていく中で不可欠な“きずな”だ。「きずなさえあれば、人は孤独じゃない」と橋田。「20年前と比べ世の中は激変した。今は無縁社会の問題が指摘されているが、そんな時代に向けてどんなきずなの姿を描けるか」と自問自答する。最終シリーズのメーンテーマはそこに絞られそうだ。
第10シリーズは10月14日から、来年9月までの放送予定(木午後9?0)。初回は2時間スペシャルでおくる。
【関連記事】
中谷美紀、紫式部役を繊細に演じる
米倉涼子“刺激体験”国税局の女査察官
マツケン、芸能界進出プラン浮上!/卓球
伊藤英明「彼のシーンはカットしてください」
GReeeeN?HIDE結婚!来年新曲も
地盤沈下が加速する日本経済の取るべき作戦とは?
引用元:石材販売、石材情報の専門サイト
あけわたる【明け渡る】の意味
11 年前